おこしやすもおいでやすも、どちらもお客さんを出迎える京都の挨拶。
客によっておこしやすとおいでやすを使い分けている。
おいでやすは、常連のお客様
おこしやすは、初めてのお客様
に対して使う
なぜ「おいでやす」と「おこしやす」を使い分けるのか?
そもそも江戸時代、京都ではお客様を迎える場合、「おいでやす」を使うのが一般的。
もともとは「おいでやす」しかなかった。
東海道や中山道という京都と江戸を結ぶ街道が整備され、これまで京都に来ることができなかった遠方に住む人々が京都を訪れるようになった。
はるばる遠方からやって来た初めてのお客さんに、おいでやすよりも丁寧な言葉がけとしてねぎらいの気持ちを込めて使われるようになったのが「おこしやす」。
「おこしやす」は漢字で「お越しやす」と書く。
京都に遠方から来る人は、東海道だといくつかの峠を越えなければならない、中山道だと木曽路(鳥居峠)越え。
遠方から来る人は、山を越えて来るので「お越しやす」とねぎらいの言葉をかけるようになった。
使い分けでメリットがあった
当時女将の客を迎える声は、仲居さんや料理人への合図にもなっていた。
おこしやすという挨拶で出迎えたときは山を越えて来たお客さんということなので、仲居さんはお客さんの汚れた足を洗うため桶にお湯を準備したり、料理人は、山越えで汗をかいたのでは、と料理の味付けを濃くしていた。
現在では交通網が発達し、昔のように苦労して遠方から来る人はいないが、昔の名残で挨拶の使い分けは未だに残っている。